Red cat の数学よもやま話・新装開店

はてなダイアリー「Red cat の数学よもやま話」から徐々にこちらに移行していきます。

数学・組み合わせ

Möbius 関数の Dirichlet 母関数(その 2)

いよいよ Dirichlet 母関数の話. から始まる系列 について を Dirichlet 母関数という.このとき, 二つの Dirichlet 母関数の積は, 系列のどのようなたたみ込みに相当するか調べると, であるから, というたたみ込みに相当していることがわかる.さて, Möbius …

母関数を用いた種々の技法(その 6)

について. 故 となる. 小さい について実際に計算すると となる.

母関数を用いた種々の技法(その 5)

前回の一般化.式 から始める. 両辺を で微分すると, 左辺は と書き換えられるので, が因子として現れる. 右辺の は分子が であり, これを で微分することになるので, 結果としては の微分は と の積となる. ここで は が非整数のときにも意味を持つことに注…

母関数を用いた種々の技法(その 4)

今回は, 少し天下り的ではあるが調和数 の母関数を求めてみたい. の両辺を について積分すると を得る*1. この両辺を で割ると となるから, の母関数は である. 次回, もう少し一般化したものを求める. *1:この式で とすることで, がわかる.

母関数を用いた種々の技法(その 3)

前回の続き. と置くと であるから がわかる. しかし, これは の閉じた式としてはあまり有用ではない. に着目すると という, もう少し有用な式が得られる.

母関数を用いた種々の技法(その 2)

は Fibonacci 数の漸化式である. ここで第 3 の式の両辺に を掛けて についての和を取ると となるが, であることから, とおくと となり, このことから が求まる. 級数展開すると となるので がわかるのだが, これだけではどうと言うこともないので, 次の記事…

母関数を用いた種々の技法(その 1)

なる漸化式を見たとき, 数学が得意な方であればこれが であることはすぐにわかると思う. しかし, ここでは母関数を用いた解法を紹介したい.上の式は一行で書くと となる. 系列 の指数母関数 を考えると 故, が求まる. 従って である.これは簡単な例であるが,…

Bernoulli 数の指数母関数

二つの系列 のそれぞれの指数母関数を とするとき, は系列 の指数母関数になる. これをたたみ込みと言う.さて, Bernoulli 数 を で定義する*1. を に置き換えて両辺に を加えると である. 系列 の指数母関数を とするとき, 上式の左辺は と定数系列 のたたみ…

二項係数に関する関係式(補足)

二項係数に関する関係式 - Red cat の数学よもやま話・新装開店 の補足記事. mathneko.hatenablog.com補題. のとき ただし は第 2 種 Stirling 数. (証明) のときは により成り立つ. よって補題は帰納的に成り立つ.命題 1. のとき (証明) ただし は下降階乗…

席替えの数理(その 4・最終回)

さて, 6 割強の確率で前回と同じ座席に座る人が出る席替えであるが, 実際のところ, 「前回と同じ座席に座る人の数」の期待値や分散はどのようになっているのだろうか. これを確率変数 とすると である. 故に だから すなわち期待値も分散も によらず になる.…

席替えの数理(その 3)

のもう一つの求め方.今, 座席に の番号を付け, 元々 番の座席に座っていた生徒を とする. 番の座席に が座るとして 番の座席に が座るとき, 残りの 人が前と違う座席に座る場合の数が 通り, 番の座席に が座らないとき, 人が前と違う座席に座る場合の数が 通…

席替えの数理(その 2)

前回証明なしで使った反転公式 の証明.さて, は が大きくなると急速に に収束する. 従って, が十分大きいとき, 席替えで全員が異なる座席に座る確率はだいたい 36.8% 程度である. 裏を返せば, 6 割強の確率で, 不幸(?)にして前と同じ座席に座る人が出ること…

席替えの数理(その 1)

人のクラスで席替えを行う. このとき, ちょうど 人が前と同じ座席になるような場合の数を としよう. すぐにわかることとして, 奇跡的にも全員が同じ座席になるような場合の数は 1 通りしかない. すなわち である. また, ちょうど 人だけが同じ座席になるとい…

二項係数に関する関係式

の両辺に ( は についての微分作用素)を 回作用させて を代入すると左辺は のとき , のとき となるので が成り立つ. これを利用すると 参考サイト : 私的数学塾 (「私の備忘録」→「代数学分野」→「二項係数の性質」)