Red cat の数学よもやま話・新装開店

はてなダイアリー「Red cat の数学よもやま話」から徐々にこちらに移行していきます。

包絡線としての astroid

先日, 天下りに astroid のパラメーター表示を与えて, そこから陰関数表示を導き出した. しかし待って欲しい. みんなの持ってる astroid のイメージって多分こんなんでしょ ?そう, 長さ一定の線分が端点の一方を 軸上, もう一方を 軸上に固定された状態で滑…

陰関数表示についてもう少し

もう少し、いろいろな図形の陰関数表示を見ていこう。 レムニスケート(lemniscate) 極方程式 で定義される. Use QQ[a, x, y, r, c, s]; I := ideal(r^2 - 2*a^2*(c^2 - s^2), x - r*c, y - r*s, r^2 - (x^2 + y^2)); elim(r..s, I); > ideal(-2*a^2*x^2 +x^4…

cardioid の陰関数表示

astroid に続いては cardioid の陰関数表示を.cardioid は という極方程式によって与えられる平面曲線である.(図は )astroid のときと同じように の idealから を消去すると陰関数表示が得られる. Use QQ[a, x, y, r, c, s]; I := ideal(r - a * (1 + c), x …

astroid の陰関数表示

1 年振りでございました…orzastroid という曲線をご存じであろうか.というパラメーター表示を持つ曲線である.(上図は )これのよく知られた陰関数表示として があるが, 多項式じゃないから美しくない*1.実は astroid にはれっきとした多項式による表示がある.…

Möbius 関数の Dirichlet 母関数(その 2)

いよいよ Dirichlet 母関数の話. から始まる系列 について を Dirichlet 母関数という.このとき, 二つの Dirichlet 母関数の積は, 系列のどのようなたたみ込みに相当するか調べると, であるから, というたたみ込みに相当していることがわかる.さて, Möbius …

Möbius 関数の性質

Möbius 関数の性質についていくつか. Möbius の反転公式 左から右は 右から左は Möbius 関数の具体的な値 Möbius 関数は乗法的であるから, 素数 に対する の値が分かればよい. 定義により かつ であるから

Möbius 関数の Dirichlet 母関数(その 1)

母関数ネタの締めに, Möbius 関数の Dirichlet 母関数なるものを求めてみたい. 今回はそのための準備.正の整数を引数とする関数 が を満たすとき, は乗法的であるという. なる関係式があるとき, が乗法的ならば明らかに も乗法的であるが, 実はその逆が成り…

母関数を用いた種々の技法(その 6)

について. 故 となる. 小さい について実際に計算すると となる.

母関数を用いた種々の技法(その 5)

前回の一般化.式 から始める. 両辺を で微分すると, 左辺は と書き換えられるので, が因子として現れる. 右辺の は分子が であり, これを で微分することになるので, 結果としては の微分は と の積となる. ここで は が非整数のときにも意味を持つことに注…

母関数を用いた種々の技法(その 4)

今回は, 少し天下り的ではあるが調和数 の母関数を求めてみたい. の両辺を について積分すると を得る*1. この両辺を で割ると となるから, の母関数は である. 次回, もう少し一般化したものを求める. *1:この式で とすることで, がわかる.

母関数を用いた種々の技法(その 3)

前回の続き. と置くと であるから がわかる. しかし, これは の閉じた式としてはあまり有用ではない. に着目すると という, もう少し有用な式が得られる.

母関数を用いた種々の技法(その 2)

は Fibonacci 数の漸化式である. ここで第 3 の式の両辺に を掛けて についての和を取ると となるが, であることから, とおくと となり, このことから が求まる. 級数展開すると となるので がわかるのだが, これだけではどうと言うこともないので, 次の記事…

母関数を用いた種々の技法(その 1)

なる漸化式を見たとき, 数学が得意な方であればこれが であることはすぐにわかると思う. しかし, ここでは母関数を用いた解法を紹介したい.上の式は一行で書くと となる. 系列 の指数母関数 を考えると 故, が求まる. 従って である.これは簡単な例であるが,…

Bernoulli 数の指数母関数

二つの系列 のそれぞれの指数母関数を とするとき, は系列 の指数母関数になる. これをたたみ込みと言う.さて, Bernoulli 数 を で定義する*1. を に置き換えて両辺に を加えると である. 系列 の指数母関数を とするとき, 上式の左辺は と定数系列 のたたみ…

二項係数に関する関係式(補足)

二項係数に関する関係式 - Red cat の数学よもやま話・新装開店 の補足記事. mathneko.hatenablog.com補題. のとき ただし は第 2 種 Stirling 数. (証明) のときは により成り立つ. よって補題は帰納的に成り立つ.命題 1. のとき (証明) ただし は下降階乗…

席替えの数理(その 4・最終回)

さて, 6 割強の確率で前回と同じ座席に座る人が出る席替えであるが, 実際のところ, 「前回と同じ座席に座る人の数」の期待値や分散はどのようになっているのだろうか. これを確率変数 とすると である. 故に だから すなわち期待値も分散も によらず になる.…

席替えの数理(その 3)

のもう一つの求め方.今, 座席に の番号を付け, 元々 番の座席に座っていた生徒を とする. 番の座席に が座るとして 番の座席に が座るとき, 残りの 人が前と違う座席に座る場合の数が 通り, 番の座席に が座らないとき, 人が前と違う座席に座る場合の数が 通…

席替えの数理(その 2)

前回証明なしで使った反転公式 の証明.さて, は が大きくなると急速に に収束する. 従って, が十分大きいとき, 席替えで全員が異なる座席に座る確率はだいたい 36.8% 程度である. 裏を返せば, 6 割強の確率で, 不幸(?)にして前と同じ座席に座る人が出ること…

席替えの数理(その 1)

人のクラスで席替えを行う. このとき, ちょうど 人が前と同じ座席になるような場合の数を としよう. すぐにわかることとして, 奇跡的にも全員が同じ座席になるような場合の数は 1 通りしかない. すなわち である. また, ちょうど 人だけが同じ座席になるとい…

二項係数に関する関係式

の両辺に ( は についての微分作用素)を 回作用させて を代入すると左辺は のとき , のとき となるので が成り立つ. これを利用すると 参考サイト : 私的数学塾 (「私の備忘録」→「代数学分野」→「二項係数の性質」)

コンパクト集合の共通部分がコンパクトでない例

に開集合系として を定めて位相空間とする. 開区間 とする. このとき とおくと は のコンパクト集合であるが, はコンパクトではない.

小学生が解きます

まずはこの写真を見てほしい.多分高校生がこれを見たら何も考えずにこう解くだろう.これは底辺が , 高さが の三角形なので .でも待ってほしい, これ, 中学入試です. つまり解くのは小学生です. 三角関数なんか知ってるわけがありません.じゃあどう解くの ? …

積分の変形

面白い問題見つけたので解いてみた. を示せ. って問題で, 「数学的帰納法を使われるのは気分が悪い」って言ってたから使わないでやってみた. ここで だから結論を得る.

ある級数の和(後編)

さて … (1) の両辺を 倍すると を得る. これを の級数展開を利用して分解すると となる. ここで の符号は「 を素因数分解したとき 型の素因数が偶数個ならプラス, 奇数個ならマイナス」で決定する. また, (1) の両辺を 倍すると を得るので, 同様に展開して …

ある級数の和(前編)

という級数を考える. この級数は無限積表示 を持つ. ここでこの無限積表示は奇素数 に対する すべてについての積であり, 複号のところは が 型ならプラス, 型ならマイナスとする.書き方を変えると である. とすれば … (1) である. 一方 zeta function の無限…

事前確率と事後確率

Twitter より引用. 産まれてくる子供が、男なら90%の確率で「男」、女なら70%の確率で「女」 と診断されるとしましょう。 Aさんの子供は「男」、Bさんの子供は「女」と診断されたとき、AさんのほうがBさんより確証が持てそうに見えますが、実は逆です! なぜ…

独立な確率変数の和の分布

簡単のため, 連続型の確率変数を考える. すなわち, 分布が連続関数 による重み付き測度 であるようなものだけを考える.独立な確率変数 があるとき, と もまた独立である. の分布を , の分布を とするとき, の同時分布は である. ここで と変数変換すると で…

単連結でない空間上の微分形式(おまけ ?)

と は前回のままとする。 は同相写像. ただし .この同相写像で 上の微分形式 を引き戻すと となる.ところが, 上連続(!)な関数 を取ると と書けるので, コホモロジー的には と同値なものである.事実 なので, が の生成元であるという事実とも合致する.

単連結でない空間上の微分形式

とおく. これは単連結でなく, を変位レトラクトに持つ. 変位ホモトピーは で与えられる.さて 上の微分形式 を考える. とおくと なので は閉形式.一方で, 上で連続な関数 で を満たすものは取れない. 一見, とおくと であるが, は 上で連続でない*1ので であ…

完全微分形式の話

珍しく幾何の話題を. の領域 上の一次微分形式 について である. したがって であれば は閉形式であるが, が領域であることにより, 既知の通りこのとき となる が存在するので, は完全形式でもある. これは de Rham コホモロジー的には と同じことである.