楽しい圏論(その 4)
今後, などは単に と書きます. また, 射や函手の合成記号は省いて などと書きます.
自然変換の垂直合成と函手圏
圏 から圏 への函手 と自然変換 が与えられたとき, 垂直合成(vertical composition) を で定義します.
これが から への自然変換になっていることは, 次図の可換性から明らかでしょう.
自然変換の垂直合成は結合法則を満たし, これによって から への函手の全体は函手を対象, 自然変換を射とする圏になります. これを函手圏(functor category)と言い, で表します.
自然変換の水平合成
自然変換にはもう一つ, 水平合成(horizontal composition)と言われる合成があります. これは次図のように圏 から圏 への函手 と, 圏 から圏 への函手 , さらに自然変換 があるときに定義されます.
以下, 長くなるので折りたたみ.
まず, 次図のような状況を考えます.
における可換図式
をそっくり函手 で写すと
となるので, と定義することで新しい自然変換 が得られます.
次に, 次図のような状況を考えます.
の射 は函手 によって に写ります. このとき の自然性により, 可換図式
が成り立ちます. したがって と定義すれば, 新しい自然変換 が得られます.
以上の準備によって, 以下の要領で と の水平合成が得られます.
気になるのは以下の図です.
しかし が成り立つことが, 以下のようにしてわかります. を任意の対象とするとき, 射 について の自然性から可換図式
すなわち が成り立ちます.
以下, 定義により
なお, 証明は略しますが, 垂直合成と水平合成に関して, 以下の図において
が成り立ちます.