楽しい圏論(その 11)
ファイバー積
極限の特殊ケースをもう一つ.
という圏を考えます. これは見た目の通り, 対象が の三つで, (恒等射以外の)射は の二つだけ定義されている圏です. このとき函手 の極限は次図のようになり, ファイバー積 と言われているものです.
コンマ圏とファイバー積
圏 と函手 があるとき, 新しい圏 を
- 対象は であるような の組
- から への射は次図を可換にするような射 と の組
と定義すると新たな圏が得られ, これをコンマ圏と言います.
ここで としたとき は
- 対象は であるような の組
- から への射は次図を可換にするような射
となり, の「上方の対象」と言われるものがなす圏になります. この圏で と の積を考えるとちょうどファイバー積になります.