Red cat の数学よもやま話・新装開店

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小難しい二次方程式の話(その 3・最終回)

さて, {V} を根とするような {K} 係数のもっとも次数の低い方程式を考えてみよう. もうネタはほぼバレバレなので {D=p^2-4q} と書くことにする. すると {V=\sqrt{D}} を根とする {K} 係数のもっとも次数の低い方程式は言うまでもなく
{f_V(x)=x^2-D=0}
である. そしてこの方程式は {V=\sqrt{D}}{-V=-\sqrt{D}} を根に持つ. {V}{-V} は軛(くびき)を共にしている !

そして前回定義した {\varphi_1(x),\varphi_2(x)}{-V} を代入してみると
{\varphi_1(-V)=\alpha_2,\varphi_2(-V)=\alpha_1}
で, 元の方程式の根の順列が入れ替わった !

折しも元の方程式の Galois 群は拡大 {K(\sqrt{D})/K} の Galois 群で, それは 2 次対称群 {S_2} であった. このことと, {\sqrt{D}} と軛を共にする {-\sqrt{D}} を「代用」としたことによって, 根の順列が入れ替わったことは, 実は偶然ではなくちゃんと因果関係があるのであるが, 続きはまたの講釈で.