Red cat の数学よもやま話・新装開店

はてなダイアリー「Red cat の数学よもやま話」から徐々にこちらに移行していきます。

2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

完全微分形式の話

珍しく幾何の話題を. の領域 上の一次微分形式 について である. したがって であれば は閉形式であるが, が領域であることにより, 既知の通りこのとき となる が存在するので, は完全形式でもある. これは de Rham コホモロジー的には と同じことである.

数学問題 bot の問題から

Twitter の数学問題 bot が出題する問題から一題拝借. をなめらかな関数とし, とおく. は の 階導関数. このとき を示せ, という問題であるが, これは のとき なので*1, この式で とおけばよい. *1:大雑把にしか計算してないがたぶん大丈夫

本当に難しい三次方程式の話(その 3・最終回)

お話の最後にちょっと面白い事実を紹介しよう. を の任意の元*1とするとき が成り立つことが確かめられる. 二次方程式のときと同じく根の順列が入れ替わり, しかもその入れ替わり方と に作用させる の元との因果関係がはっきりと見て取れる. 二次方程式のと…

本当に難しい三次方程式の話(その 2.5)

ちょっとおまけとして, 特殊な場合の三次方程式の Galois 群を考えてみよう. の場合 このとき は既約でないから の 上の最小多項式にはならない. 一般に最小多項式は であって は高々 3 次拡大である. したがって, の値によって Galois 群は ないし単位群に…

本当に難しい三次方程式の話(その 2)

さて, が生成するところの の部分群である 3 次交代群 は を(したがって も)動かさない. ということは は に対応する不変体であり, 拡大 の次数は の位数であるところの 3 に等しい. しかるに拡大 の次数は, となるのだが, あいにくと である. しかし と、 …

本当に難しい三次方程式の話(その 1)

何でたかが二次方程式をそこまで小難しくやったのかというと, 実は今日から数回にわたってお話する三次方程式の議論のための伏線でありました. だからここからが本題です.我々は Tschirnhaus 変換によって三次方程式は の形のものだけを考えればよいことがわ…

小難しい二次方程式の話(その 3・最終回)

さて, を根とするような 係数のもっとも次数の低い方程式を考えてみよう. もうネタはほぼバレバレなので と書くことにする. すると を根とする 係数のもっとも次数の低い方程式は言うまでもなく である. そしてこの方程式は と を根に持つ. と は軛(くびき)…

小難しい二次方程式の話(その 2)

さて, 少々天下り感があるが, 係数の有理関数 を考えよう. すると簡単な計算で がわかるから とおける. そして と因数分解できるが は の元であるから は 上で因数分解できたことになる. すなわち は の分解体である ! (続く)

小難しい二次方程式の話(その 1)

先日紹介した「数学ガール/ガロア理論」でも述べられている通り, 代数方程式と体の拡大と対称群には深い関わりがある. そこで今回は二次方程式を例にとって, 敢えて中学生でも知っている二次方程式の解の公式を小難しく書いて大人チックな読み物にしてみよう…

12 の魅力

「数学ガール/ガロア理論」第 4 章において、1 の原始 12 乗根と円分多項式の話題が取り上げられている。読者の方の中には「何故 12 なのか ?」と思われた方がいるかもしれない。答は「12 が約数の数が豊富である」ことによる。たとえば 8 や 10 なら 12 よ…