Red cat の数学よもやま話・新装開店

はてなダイアリー「Red cat の数学よもやま話」から徐々にこちらに移行していきます。

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

楽しい圏論(その 7)

ある実例 を可換環とします. 集合 が与えられたとき, の元を基底とする自由 -加群が作れます. これを で表すことにします. すると函手 が作れます.一方, -加群 に対して, -加群であることを忘れてただの集合とみなす函手*1 が作れます. 射も -準同型であるこ…

楽しい圏論(その 6)

今回はいよいよ米田の補題を証明しますが, 少しだけ準備をします. 双対圏(再) 以前, 圏 の双対圏 を定義しましたが, 圏 における言明 は, 双対圏に写ることによって双対言明 に書き換えられます. であることを考えれば, 圏 における言明 が においては双対言…

楽しい圏論(その 5)

これまで, はクラスであると仮定してきました*1が, 実際にはより大きな圏も扱うことが多いです. したがって, 今後は特に断りがなければそのような圏も扱っているものと考えてください. また, そのような圏を扱っている場合でも, 集合論でよく使う記号( など)…

楽しい圏論(その 4)

今後, などは単に と書きます. また, 射や函手の合成記号は省いて などと書きます. 自然変換の垂直合成と函手圏 圏 から圏 への函手 と自然変換 が与えられたとき, 垂直合成(vertical composition) を で定義します.これが から への自然変換になっているこ…

楽しい圏論(その 3)

反変函手と双対圏 前回は函手を定義しましたが, もう一つ, 反変函手(contravariant functor)と言われるものがあります. が の恒等射ならば は の恒等射である. において が定義されているならば において が定義されており, である. 一つ目は通常の函手(共変…

楽しい圏論(その 2)

一ヶ月ほど間が空いてしまいましたが, ようやくブログを書ける状態になってきたので再開します. 函手の定義 を二つの圏(の射のクラス)とします. クラス関数 は, 以下の二つの公理を満たすとき, 函手(functor)であると言います. が の恒等射ならば は の恒等…