本当に難しい三次方程式の話(その 2)
さて, が生成するところの の部分群である 3 次交代群 は を(したがって も)動かさない. ということは は に対応する不変体であり, 拡大 の次数は の位数であるところの 3 に等しい. しかるに拡大 の次数は, となるのだが, あいにくと である. しかし
と、 が と軛を共にしてくれる. つまり は二次方程式
の解なのである. これにより の拡大次数は 2 とわかるから は 6 次拡大であるとわかる. の最小多項式は(一般の に対しては)
となる.
ところで の判別式 は
なのであるが, 一方で別の観点から計算すると
となる. ここで であるから
の部分が問題となる. これは元の三次方程式の判別式の定義式である. つまり
が元の三次方程式の判別式である. 今は は不定元として考えているから は には属さないが, 具体的な が与えられれば当然事情も変わってくるので, 具体的な三次方程式の Galois 群はさまざまであるが, 共通して言えることは, それらは の部分群である, ということである. (続く)