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Red cat の数学よもやま話・新装開店

はてなダイアリー「Red cat の数学よもやま話」から徐々にこちらに移行していきます。

単連結でない空間上の微分形式

{D=\mathbb{R}^2-\{(0,0)\}} とおく. これは単連結でなく, {S^1=\{(x,y)|x^2+y^2=1\}} を変位レトラクトに持つ. 変位ホモトピー
{\displaystyle h_t(x,y)=\left(x\exp\left(\frac{t-1}{2}\log(x^2+y^2)\right),y\exp\left(\frac{t-1}{2}\log(x^2+y^2)\right)\right)}
で与えられる.

さて {D} 上の微分形式
{\displaystyle\omega=-\frac{y}{x^2+y^2}dx+\frac{x}{x^2+y^2}dy}
を考える.
{\displaystyle P=-\frac{y}{x^2+y^2},Q=\frac{x}{x^2+y^2}}
とおくと {P_y=Q_x} なので {\omega} は閉形式.

一方で, {D} 上で連続な関数 {F}{dF = \omega} を満たすものは取れない.
一見, {F=\arctan(y/x)} とおくと {F_x=P,F_y=Q} であるが, {F}{D} 上で連続でない*1ので {dF\ne\omega} である. {\omega} は完全形式ではないのである.

実際, 極座標変換
{x=r\cos\theta,y=r\sin\theta}
によって {D\approx (0,\infty)\times\mathbb{R}/2\pi\mathbb{Z}} であり, {\omega}極座標変換を施すと
{\omega=d\theta}
となる ! したがって
{\displaystyle\int_{S^1}\omega = 2\pi}
であるから {\omega}
{H^1(D;\mathbb{R})\cong H^1(S^1;\mathbb{R})\cong\mathbb{R}}
の生成元となっている.

*1:し, {\arctan} の分枝をうまくとって連続にすることもできない