楽しい圏論(その 5)
これまで, はクラスであると仮定してきました*1が, 実際にはより大きな圏も扱うことが多いです. したがって, 今後は特に断りがなければそのような圏も扱っているものと考えてください. また, そのような圏を扱っている場合でも, 集合論でよく使う記号( など)を濫用します.
局所的に小さな圏, 小さな圏
以下, 頻繁に使う用語の定義です.
- が局所的に小さな圏(locally small category) 任意の に対して が(小さな)集合.
- が小さな圏(small category) は局所的に小さな圏でかつ が(小さな)集合.
圏の積と双函手
二つの圏 があったとき, 以下のようにして新しい圏 が構成できます*2.
- のとき
特殊な函手 を以下のように定義します.
に対して
この圏の積は, 以下のような普遍性を持ちます.
函手 があったとき, 函手 で を満たすものが存在します. 実際 と置けばよいでしょう.
さて, 函手 を特に双函手(bifunctor)と言います. 特に重要なのは, 局所的に小さな圏 に対する hom 函手
でしょう*3. に対して
とすれば, これが実際に函手になっていることを見るのは容易でしょう.
さて, この hom 函手においてある を固定することで, 函手
が得られます. つまり は から への函手を与えていることになります. これを米田函手(Yoneda functor)と言います. 同様に
から得られる函手
もやはり米田函手と言います.