Red cat の数学よもやま話・新装開店

はてなダイアリー「Red cat の数学よもやま話」から徐々にこちらに移行していきます。

無理方程式を解く

方程式 \sqrt{x + 5} + \sqrt{20 - x} = 7 を解け.

一般的(?)な解き方は下記動画にて紹介されています.


www.youtube.com

ここでは少し違うアプローチをしてみましょう.

t = \sqrt{x + 5} と置きます. このとき x = t^2 - 5 です. これを元の方程式に代入すると

\begin{split}
t + \sqrt{25 - t^2} &= 7 \\
    \sqrt{25 - t^2} &= 7 - t \\
           25 - t^2 &= (7 - t)^2 \\
                    &= 49 - 14t + t^2
\end{split}

となり, 整理すると 2t^2 -14t + 24 = 0, すなわち t^2 - 7t + 12 = 0 という t についての二次方程式を得ます. これは (t - 3)(t - 4) = 0因数分解できますので, t = 3, 4 となります. それぞれの t の値に応じて x = 4, 11 と答が求まります.

Fleet 問題の解答

x^{14} + x^7 + 1 を(有理係数の範囲で)因数分解せよ.

これは過去に数検1級の問題として出題されたものの変化バージョンです. *1

この形のままだと何を因数に持つか分かりにくいので, 一旦 x^7 - 1 を掛けてみます.

(x^7 - 1)(x^{14} + x^7 + 1) = x^{21} - 1

となります. ここで右辺は 1 の 3 乗根を根に持ちますが, 1 以外の 3 乗根(原始 3 乗根)は x^7 - 1 の根にはなりません.
したがって x^{14} + x^7 + 1 が 1 の原始 3 乗根を根に持つことが分かるので, x^{14} + x^7 + 1x^2 + x + 1 で割り切れることが分かります. 後はひたすら計算するだけです.

*1:実際に出題されたときは実数係数の範囲で因数分解せよ, という問題でした

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Fleet 問題の解答

34571素因数分解せよ.

これはかなり難しかったと思います.

少し小さい数からあたりをつけて言って「二乗引く二乗」の形に持ち込めればしめたものですが, やってみましょう.

180^2 = 32400, 185^2 = 34225 なので, もう一声, と言ったところです.

186^2 = 34225 + 2\cdot 185 + 1 = 34596 でようやく 34571 を超えました.

\begin{align}
34571 &= 34596 - 25 \\
      &= 186^2 - 5^2 \\
      &= (186 - 5)(186 + 5) \\
      &= 181\cdot 191
\end{align}

が正解でした.

8/14 追記 : YouTube に解説動画を上げました!

www.youtube.com

Fleet 問題の解答

Twitter の Fleet 機能が 8/3 をもって廃止されることになりましたね.

そこで先日, Fleet 機能で以下のような問題を出しました.

30030素因数分解せよ.

ではさっそく解いてみましょう.

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オリンピック開幕記念?2021は素数か?

オリンピックの開会式まで10時間を切りましたね.

今回はそれにちなんで, というわけではないですが, 「2021素数か」という問題を考えてみます. これまた, 先ほどの問題と同じく東大模試の誘導小問として出題されたものです.

実はこれ, 45^2 = 2025 に気づいてしまうと(ちなみにこの計算は「インド式計算」を使うとすぐに出せます), 次のように一瞬で解決してしまいます.

\begin{align}\
2021 &= 2025 - 4 \\
     &= 45^2 - 2^2 \\
     &= (45 - 2)(45 + 2) \\
     &= 43 \cdot 47
\end{align}

と二つの素因数の積として表せるので, 2021素数ではないことになります.