Red cat の数学よもやま話・新装開店

はてなダイアリー「Red cat の数学よもやま話」から徐々にこちらに移行していきます。

まだまだあるよ!鬼難問の別解たち


www.youtube.com
こちらの動画で紹介した別解の他に, 以下のような別解をいただきました.


多変数の多項式因数分解するとき, 変数に 0 を代入して, 最終形を予想するのは良くあるテクニックですが, 今回はまさにピッタリでしたね. 素晴らしい!

難問を解く鍵は?


www.youtube.com
動画では天下りのように x - 2y を括り出していましたが, 何故この x - 2y に当たりをつけられれたのか, ちょっとその思考に深入りしてみましょう.

元の式が因数分解できるのであれば, 定数項を持たない ax + by の形の因数があるはずです. そこで

(ax + by)(cx^2 + dxy + ey^2 + fx + gy + h)

という形に分解できると考えたときに, 1次の項として出てくるのが 5x - 10y でなければならないので, a = 1, b = -2, h = 5 が怪しい, という話だったのです.

動画の別解


www.youtube.com

x = \sqrt[3]{3} とおくと元の式は \dfrac{1}{x^2 + x + 2} と書けるが, ここで分母である x^2 + x + 2 に適切な 2 次式を掛け、なおかつ x^3 = 3 であることを用いて xx^2 の項を消せないか考えてみる.
\begin{align}
(x^2 + ax + b)(x^2 + x + 2)
 &= x^4 + (a + 1)x^3 + (a + b + 2)x^2 + (2a + b)x + 2b \\
 &= (a + b + 2)x^2 + (2a + b + 3)x + 3(a + 1) + 2b
\end{align}
なので, 連立方程式
\left\{\begin{array}{l}
a + b + 2 = 0 \\
2a + b + 3 = 0
\end{array}\right.
を解いて a = - 1, b = - 1 となる. したがって与式は
\dfrac{x^2 - x - 1}{-2} = \dfrac{1 + x - x^2}{2} = \dfrac{1 + \sqrt[3]{3} - \sqrt[3]{9}}{2}.