母関数を用いた種々の技法(その 3)
前回の続き.
と置くと
であるから
がわかる. しかし, これは の閉じた式としてはあまり有用ではない.
に着目すると
という, もう少し有用な式が得られる.
母関数を用いた種々の技法(その 2)
は Fibonacci 数の漸化式である. ここで第 3 の式の両辺に を掛けて についての和を取ると
となるが,
であることから, とおくと
となり, このことから
が求まる. 級数展開すると
となるので
がわかるのだが, これだけではどうと言うこともないので, 次の記事で の閉じた式を求めることにする.
母関数を用いた種々の技法(その 1)
なる漸化式を見たとき, 数学が得意な方であればこれが であることはすぐにわかると思う. しかし, ここでは母関数を用いた解法を紹介したい.
上の式は一行で書くと
となる. 系列 の指数母関数
を考えると
故,
が求まる. 従って である.
これは簡単な例であるが, 次回以降, もう少し複雑な式の求め方を紹介する.
二項係数に関する関係式(補足)
二項係数に関する関係式 - Red cat の数学よもやま話・新装開店 の補足記事.
mathneko.hatenablog.com
補題. のとき ただし は第 2 種 Stirling 数.
(証明)
のときは により成り立つ. よって補題は帰納的に成り立つ.
命題 1. のとき
(証明)
ただし は下降階乗べき. ここに は 次の多項式である.
命題 2.
(証明)
ここに は 次の多項式である.
席替えの数理(その 4・最終回)
さて, 6 割強の確率で前回と同じ座席に座る人が出る席替えであるが, 実際のところ, 「前回と同じ座席に座る人の数」の期待値や分散はどのようになっているのだろうか.
これを確率変数 とすると
である. 故に
だから
すなわち期待値も分散も によらず になる. 実は
であるから, の分布は平均 1, 分散 1 の Poisson 分布に近づいていく(常に であることを除いて).
参考書籍
- 作者: ロナルド・L.グレアム,オーレンパタシュニク,ドナルド・E.クヌース,Ronald L. Graham,Oren Patashnik,Donald E. Knuth,有沢誠,萩野達也,安村通晃,石畑清
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 1993/08
- メディア: 単行本
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